パン工房ワンハート

歴史上の交流をきっかけにハワイの文化や風習が島の風土に深く根づいていることから、「瀬戸内のハワイ」とも言われる周防（すおう）大島。山口県南東に位置するとは思えないほど豊かな自然の中でつくられたパンには、周防大島の名産がふんだんに使われています。「実家が魚屋」という島のおいしいものを知り尽くしたパン職人だからこそ出せる味をお楽しみください。

「世界イチの美術館」より美しい周防大島産のパン

生まれ育ったまち、山口県の周防（すおう）大島でパンを焼いて、店舗を持たずに道の駅などで販売している嶋津と言います。調理師専門学校卒業後は都会を転々としていたのですが、僕には居心地が悪く、22歳でUターン。自分が無理せず自然体でいられる場所が、この島だと気づいたんです。ここには空も、海も、山もある。うちのロゴをデザインしてくださった島出身の有名デザイナーさんから「自然の中におるってことは、“世界イチの美術館”より美しい“究極の美”の中におると認識した方がいいよ」と言われ、改めて島のすばらしさを実感しました。僕のこだわりは「地産地消」。これに尽きます。山口県産小麦、周防大島産天然塩、周防大島白木山の天然水を使用。パンに使っている自家製天然酵母は、周防大島産無農薬小麦から培養しています。今、島に移住する人が増えていて、そういう人たちが無農薬野菜をパウダーにするなど、おもしろい試みをしているんです。ほかにもかつて盛んだった製塩が48年ぶりに復活するなど島内での食材供給能力が上がっているので、積極的にパンづくりにも取り入れていきたいと思っています。かつては「技術力があれば、材料にこだわらなくてもおいしいパンができる」と思って技術ばかり磨いていた時期があったんですが、腕は素材に勝てない。しかも中途半端ではダメで一流のもの。それに気づいて材料を一新したら納得のいくバゲットができたので、ぜひ食べてみていただきたいです。これまでずっと周防大島の話をしてきましたが、来たことがある人は少ないのではないでしょうか。島の風景画像を見ながら、もしくは想像しながらパンを食べて、土地を感じてみてください。そこに感動が生まれれば、島でパンをつくる者として最高にしあわせです。お時間がありましたら、美しい自然とおいしいものがあふれるこの島にぜひ遊びにきてくださいね。 お待ちしています。語り手：代表　嶋津 朗暢（しまづ あきのぶ）