BREAD She-N

神戸市営地下鉄西神・山手線の伊川谷（いかわだに）駅から車で10〜15分ほどの住宅街にある町のパン屋さん。パンに合わせて小麦を選び、生地の味・食感・香りをバランスよく仕上げることを心がけています。近所の子どもたちが買いにくるような気さくな雰囲気で、パンひとつからでも予約可能。夕方にはパンがほとんどないこともあるので、早めの時間帯に訪れるのがおすすめです。

暮らしの“シーン”にとけこむ「いつものパン」

親兄弟親戚に至るまでパン屋かケーキ屋という家庭で生まれ育った、「BREAD She-N」オーナーの山本です。店名には、僕の名前“慎太郎”の慎＋パンを通じて楽しくおいしいシーンを届けたいという想いを込めています。うちは大人も子どもも食べなれた「いつものパン」をつくる町のパン屋。おしゃれなパンもつくってみたいとは思いますが、普段着で来られるパン屋の方が自分らしいのかなと思います。みなさんが一度は食べたことのある、味が想像できるパンだからこそ、こだわっているのは生地のおいしさ。具材やフィリングがいくらおいしくても、生地がおいしくなければ「おいしいパン」として成り立ちません。お客さまはお店に並ぶパンを見て特に気づかないと思うし、気づかないようにするのが職人の腕ですが、毎日同じパンを同じように焼くのは至難の業。日々変わる気温、湿度、室温などの条件に合わせて、過去の記憶や経験をもとに、水温やこね具合などを微調整することで理想とする味に近づけています。だから生地のおいしさで、うちのパンを選んで欲しいと思っているんです。高校を卒業してすぐにパンの世界に入りましたが、まだまだ「ワザは見て盗め」という時代。修行中もさんざん怒られました。でも僕は追い詰められれば追い詰められるほど力を発揮するタイプで、辞めたいと思ったことは一度もありません。その結果、先輩から「怒りがいがある」とかわいがってもらい、今では先輩の代わりに嫁さんが怒ってくれています（笑）。そんな僕がつくるパンが、みなさんのなにげない日常の“シーン”にとけこめたら。裏方のように目立たないけど、家にいつでもある存在になれたらうれしいです。語り手：オーナー　山本 慎太郎